病の元凶である臓器など患部を摘出する手術は
有効な治療として行われています。

しかし、例えば、食道がなくなると
日常生活に大きな影響があります。

 

手術で失った臓器を取り戻したいと
誰もが思うのではないでしょうか。

 

再生医療の進化の現状について640×50fc2f05e0b0cd44a0af96c4a183baad_s
以下の情報を得ましたので共有します

 

iPS細胞の発見されたのはひと昔前(10年)。
実際の医療にiPS細胞を使うための研究が
これまでどんどん進んでいます。

 

以下は、京都大学iPS細胞研究所
(CiRA/サイラ)の戸口田淳也副所長のお話です。

 

iPS細胞って何?

 そもそもiPS細胞って何なのでしょう?

 

 戸口田副所長:
「ひと言でいうと、体の細胞を取り出して、

出典:日経Gooday

出典:日経Gooday

人為的操作を加えることで
万能細胞の能力を与えたもの」。

 

どんな細胞にもなれる万能細胞は
多能性幹細胞と呼ばれます。

 

iPS細胞は、その多能性幹細胞を
人工的につくりだしたものということなのですね。

 

 iPS細胞の日本名は「人工多能性幹細胞」。
英語表記ではInduced Pluripotent Stem Cell
それを略してiPS細胞と云われます。

ES細胞とiPS細胞との違い

ES細胞(「Embryonic Stem Cell(胚性幹細胞)」の略)も
人工的につくられた「多能性幹細胞」です。

 

違いは、
ES細胞は受精卵から少し進化した
胚(胚盤胞)から一部の細胞を取り出してつくり、

iPS細胞は体細胞に特定の遺伝子を入れてつくる。

つまり、つくり方が異なります。

 

iPS細胞が画期的なのは、

体細胞から万能細胞がつくれたという点だといいます。 

細胞の初期化。一旦分化した細胞を万能細胞に戻す

一度役割が決まってしまった
(分化した)細胞は通常では
他の役割の細胞へと変わることは
ありません。

 

なぜかというと
他の細胞になる遺伝子にロックがかかってしまうためです。

 

そのロックを外せば分化した細胞を
万能細胞に戻すことができる。

 

「それを4つの遺伝子がしてくれたのです」と
戸口田副所長はいいます。
4つの遺伝子で「細胞が初期化される」
といわれる理由です。 

iPS細胞の進化:4つの遺伝子でなくてもできる

 iPS細胞は「当初は山中因子と呼ばれる
4つの遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)で
つくられていました。

 

でも、今ではつくり方も多様になっています。

山中教授の発表以来、世界中の多くの研究者が
iPS細胞の作製方法を開発。

iPS細胞は発見から10年の間に
着々と進化を遂げていたのです。

 

課題は「がん化しやすい」こと、どう解決したか?

iPS細胞は、当初、安全性に関して課題がありました。
最大の課題は、「がん化しやすい」ということでした。

 

この課題解決のため、研究を進め、
まず、がんになる可能性のある遺伝子
c-Mycに代わりL-Mycという遺伝子を用いることで、
ほぼがんを発生せずに
iPS
細胞がつくれることを見出します

 

つぎに、
細胞に4つの遺伝子を侵入させるために
当初使っていたレトロウイルスは
細胞にもともとある遺伝子に傷をつける
可能性があるため、これを使わないで
iPS
細胞を作製する方法も開発したのです。

 

作製効率アップと品質向上

iPS細胞に導入する遺伝子を4つではなく、
6つ用いた方法で作製効率を高めることに成功しています。
現在、CiRAではこの方法で作製されています。

 

 さらに、つくったiPS細胞を徹底的に調べて
品質向上を図る作業も行われています。

すべての遺伝子を調べることを
「ヒト全ゲノム解析」といいますが、
DNA
に傷がないかを調べています

 

すべての遺伝子を調べて異常がなければ、
iPS細胞が安全につくられたことになるわけです。

 

iPS細胞にも出来不出来はある、能力差がある

 ところが、問題はその先にもありました。

 

戸口田副所長:
「iPS細胞に異常がなくても、
分化させた細胞がダメになるケースもあるのです」

つまり、iPS細胞の「質」です。

 

同じ人の細胞から同じ方法でつくったのに、
分化能力が高いものも低いものもある

できたiPS細胞はどれも違う顔をしていて、
出来不出来があるというのです。

 

 そのため、できたiPS細胞が高い分化能力を持つ、
優秀な細胞かを見極めなくてはなりません。

 

CiRAでは、iPS細胞の質を見極める
研究も進められ、
現在では神経細胞への分化能力が高い
iPS
細胞を簡単に選別する方法なども
開発されているといいます。

 

 細胞の作製方法の研究や、
遺伝子解析をはじめとする
あらゆる検査を導入することで、

 

iPS細胞はがん化の恐れのない、640×881ca6a6a3a056b8b27e588afe0524a6_s
安全でより分化能力の高い
iPS
細胞へと進化しています。

 

そして、医療現場での実用化に向けても
急ピッチで研究が進められています。

 

◇プロフィール

戸口田 淳也(とぐちだ・じゅんや) 

京都大学iPS細胞研究所副所長・再生医科学研究所教授。
1981年京都大学医学部卒業。
米国ハーバード大学にてがん抑制遺伝子の研究に従事。

 

出典:日経Gooday http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/16/122100070/070600007/?waad=abLZtgAl