「酒を飲んで顔が赤くならない人は酒に強い」は間違い

酒の強弱と、顔が赤くなる、ならないは必ずしも一致しない。640-%e6%b0%b7%e3%81%ae%e5%85%a5%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%82%b9

その理由はつぎのとおりです。

◆顔が赤くなるのはアセトアルデヒドの毒性が原因

顔が赤くなるのは、
体内でアルコールが代謝される際に発生する
アセトアルデヒドの毒性が大きな原因です

アセトアルデヒドの作用で、
顔などの毛細血管が拡張されることで
顔などが赤くなります。

さらに、アセトアルデヒドは
交感神経の刺激作用がとても強力です。
これにより脈拍が上がり、
その結果として、血圧が上がり、
冷や汗が出る、
筋肉が緊張するなどの症状が引き起こされるのです。

このような様々な症状を『フラッシャー』
と呼びます。

◆アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の活性がカギ1310x%e3%80%80%e3%82%ab%e3%82%a6%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%bc

体内に入ったアルコールの約9割は
肝臓で代謝され、アルコール脱水素酵素によって、
アセトアルデヒドに分解される。

その後、『アセトアルデヒド脱水素酵素
(英語の略称はALDHで、
1・2・3の3つの型がある)により、
アセトアルデヒドは無毒な酢酸になり、
肝臓から排出される。

このALDHのうち、
ALDH1とALDH3は、個人差が少ないが、

ALDH2は個人差が非常に大きく、
その差が酒に強いか弱いかを
決めるカギを握っている

ALDH2』の活性は、
その人の遺伝的要素によって決まります

アセトアルデヒドの分解能力、3つタイプ(型)。

1.活性型 NN
両親から、分解能力が高いとされる
N型を受け継いだ人だ。
自他ともに認める酒豪で、
酒を飲んでも赤くならない

2.不活性型 ND
分解能力が高いN型と、
分解能力が低下したD型を
それぞれ引き継いだタイプで、

まったく飲めなくはないが、
基本的には酒に弱くなる。
普段からアルコールに親しんでない場合、
顔も赤くなりやすい。

3.失活型 DD
両親からD型を引き継いだタイプだ。
酒に弱いどころか、
まったく飲めないといったほうが正しい。
飲まないほうがいい。

奈良漬けを食べた程度でも
真っ赤になってしまうのがこのタイプだ。

アセトアルデヒドによる毛細血管拡張作用には個人差がある

分解酵素ALDH2が全く活性化してないタイプ(DD型)でも640-%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%91%ef%bc%91
珍しいケースだが、顔が赤くならない人もいる。

顔が赤くならないからといって、このタイプの人に
お酒を飲ませると急性アルコール中毒など、
重篤な症状に陥ることがある。

◆要注意タイプは不活性型(ND型)、 がんリスクがある

3つのタイプの中で一番注意すべきは不活性型

飲み続けることで
アルコール耐性がアップし、
顔も赤くなりにくくなっている。

しかし活性型に比べると
酒も残りやすく、
アセトアルデヒドの毒性に
長くさらされるというリスクがあります

それによって
咽頭がんや食道がんの罹患率が高くなる傾向
が見られます

自分のタイプを正しく知っておくには640-%e9%81%ba%e4%bc%9d%e5%ad%90%ef%bc%91
遺伝子検査がベストだが簡易検査もある

自分では活性型と思っていても、
実は不活性型だったりする可能性も
大いにあります。

がんのリスクを回避するためにも
遺伝子検査をきちんと受けて
自分が上記のどのタイプなのか
知っておくことがベスト。

最近では、一般向けの遺伝子検査サービスでも
わかるようになった。

また予算に余裕のない方には
ALDH2活性だけわかる
『アルコールパッチテスト』という手もある。

自分の正確なタイプを踏まえて酒席に対応しましょう。

出典 日経Gooday

成増厚生病院
東京アルコール医療総合センターで
センター長の垣渕洋一先生の話です。

詳しくは下記URLを参照。
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/092300025/?waad=abLZtgAl