◆ストレスが引き起こす重大事
1.ストレスが多いとがんになる、がん細胞が増える
ストレスホルモンが増えると、
その刺激により普段はOFFのATF3遺伝子がONになり、
なんと免疫細胞はがんを攻撃しなくなる。
「ATF3遺伝子」は免疫に関わる遺伝子で、
「ATF3遺伝子」が働いている(ON)人は
がんでの死亡率が上昇する。(⇒がん細胞が増殖する)
2.ストレスが加わると口の中の細菌が血管を破る
ストレスホルモンが血液中に流れると
血液の中の鉄分が切り離され
血管に付着した口内細菌が鉄分を栄養にして大増殖し、
血管の壁を溶かして破ってしまう。
出血を起こすことになる。
大動脈などの重要な血管で起これば
大出血により突然死に至ることになる。
3.心の病「うつ病」を引き起こす
ストレスホルモンの中にある
コルチゾールが脳で吸収され
一定の量を超えて増え続けると
脳の一部を破壊することが分かってきたのです。
具体的には
ストレスに長くさらされると、
ネズミの脳の海馬に変化があらわれました。
海馬の神経細胞が蝕まれ、
突起が減少したのです。
今、こうした海馬の損傷が
うつ病の発症にもつながる可能性が
指摘されています。
■ 絶え間ない立て続けのストレスが脳を破壊する
仕事上の様々なことや人間関係などが
私たちに精神的な負担をかけるようになった現代。
たて続けのストレスに
私たちの体は休む間もなく
反応し続ける状態になっています。
絶え間ないストレスが、
コルチゾールの過剰な分泌を引き起こし、
脳を破壊していたのです。
さらに、
最新研究では、
マインド・ワンダリングが
絶え間ないストレスを助長しています。
「マインド・ワンダリング(こころの迷走)」とは、
目の前の現実についてではなく
過去や未来について考えをめぐらせてしまう
状態を呼んでいます。
◆ストレス対策
対策1.「運動」が効果的!運動は脳の構造を変える!?
運動は自律神経が興奮するのを抑えてくれる。
脳の構造を変えストレス反応の暴走を抑えるという。
運動をすれば、
延髄の神経細胞の突起の数を減らし
扁桃体で受けたストレスを自律神経に伝わりにくくする。
さらに、延髄は副腎にも繋がっているため、
運動すればストレス信号が副腎に伝わりにくくなり、
多少のストレスではストレスホルモンが出なくなるという。
運動によって脳の構造を変えストレスに強くなる。
運動は「延髄」だけでなく
「記憶」の部分などにも変化を起こす。
息が少し上がる程度のウォーキングなどの
有酸素運動を30分、週3回
体に少しの負荷をかけるとよい。
日々の生活で体を動かす。
通勤の時に少し早く歩くなどでも良い。
対策2.コーピング
数多くの研究で実績が証明されたストレス対処法です。
コーピングとは、
まず、ストレスがかかった時に
どんな気晴らしをすれば気分が上がるのか
あらかじめリストアップしておきます。
そして色々なストレスがかかるたびに、
そのストレスに見合った気晴らしを行います。
その結果、ストレスが減ったかどうかを自分で判断。
まだストレスを感じていたら、
さらに気晴らしを続けたり
別の気晴らしに切り替えたりします。
このように自らのストレスの観察・対策を
意識的・徹底的に繰り返すのがコーピングです。
対策3.マインドフルネス
これはマサチューセッツ大学医学部が
開発したプログラムです。
このプログラムは
瞑想の医学的効果を研究する中から生まれました。
マインドフルネスでは今に注意を向けることで、
過去のストレス回想を止めます。
記憶や想像でストレスが増幅する状態が止まり、
コルチゾールの分泌が抑えられる可能性があるのです。
その結果、
脳にうれしい変化が起きていることが
最新の研究で分かりました。
マインドフルネスを行った人は
海馬の一部で増加が確認されたのです。
ストレスに蝕まれ萎縮した海馬が
回復する可能性が見えてきたのです。
さらに、
ストレスの不安や恐怖に反応する
扁桃体の一部も5%減少する
ことも分かってきました。
減少するということは
ストレスへの過敏な反応が
抑えられると考えられます。
ストレスによって蝕まれた脳も
マインドフルネスによって
正常な状態に戻る可能性があることを
最新の科学は明らかにしています。
出典:NHKスペシャル キラーストレス