お腹がなるお腹がよく鳴るのは健康?-不健康?

-胃と腸には自動的に伸び縮みして中身を掃除する働きがあった!
埼玉大学大学院理工学研究科、理学部生体制御学科 教授 坂井貴文(さかい たかふみ)さんのお話。
http://gooday.nikkei.co.jp/at…/report/…/091100018/051100016/

以下はその抜粋です。

 「お腹が鳴るのは、とてもいいことなんですよ」
■なぜ、いいのか。坂井さんは次のように説明する。
「空腹になってお腹が鳴るのは、胃が強く収縮するからです。これは『空腹期収縮』と呼ばれるもので、この収縮が胃で起こると、それを受けて小腸の方でも次々に収縮が起こります。強く収縮することで、中にあるものを絞り出すように先へ先へと運んでいるわけです。そして、このような強い蠕動(ぜんどう)運動の結果、胃や小腸の中が空っぽになる。つまり、グーと鳴るとき、お腹の中では大掃除が行われているのです」

■食事の4~7時間後にお腹は鳴る
「食事をすると、胃は『食後期収縮』と呼ばれるモゴモゴとした動きを繰り返して、食べものを消化します。消化が進んで胃が空になると、食後期収縮に連続して、キューッと強い収縮が胃に起こる。これを空腹期収縮と呼ぶかどうかは議論の余地がありますが、収縮の強さはまさに空腹期収縮と同じ。もちろん、お腹もグーと鳴ります。例えば、朝食を7時半にとると、昼前の11時半くらいにはもうお腹が鳴って困るということも珍しくない。食事をした後の消化管の掃除は、もしかしたら従来言われているよりも早く始まるのではないか、と考えています」(坂井さん)

■お腹が鳴っても食事をすぐ取らないのが得策
「お腹が鳴っているときに食事をすると、空腹期収縮が食後期収縮へとすぐに移行しますから、掃除が中断されることになります。だから、グーッと鳴ったからと言って、すぐには食べない方がいい。せっかくお腹をきれいに掃除してくれているのだから、次の食事までは空腹の状態でいる方が得策です。・・・」

それでも、お腹が空いて、90分も我慢できないこともありますが…。
「確かに、我慢するのは難しいですね。ならば、掃除は夜、寝ている間に任せるという手もあります。夕食を早めにとり、それ以降は何も食べない状態で朝を迎える。そうすれば、寝ている間に掃除がきれいに終わります」
坂井さんによると、最近、「小腸内細菌過剰繁殖症(SIBO)」という病状が注目されているという。小腸内によくない細菌が異常繁殖してガスが発生し、腹部の膨満感や下痢などの症状が出る。消化管の運動不全が原因の一つと言われている。
「空腹期収縮で腸をしっかり動かして、お腹の中をきれいにすることは、このような病態の予防にもつながります」と坂井さんは言う。

お腹の掃除はとても大事。“グー”と空腹感のある毎日を送ろう!

Profile:
坂井貴文(さかい たかふみ)さん
埼玉大学大学院理工学研究科、理学部生体制御学科 教授
群馬大学教育学部卒業。博士(医学)学位取得。埼玉県公立高等学校教諭、群馬大学内分泌研究所助手、米国国立衛生研究所特別研究員、埼玉大学理学部講師、助教授、教授などを経て、2006年から現職。専門は、分子内分泌学、消化器生理学。