地域包括ケアシステムでは在宅医療がカギに
和歌山県立医科大学神経内科教授・伊東秀文氏のお話
【日本医学会総会2015関西プレビューより】
http://gooday.nikkei.co.jp/…/report/14/091100031/051300037/…
以下はその抜粋です。
■多死社会がくる!
いまでも6割の方が終末期は自宅でと望んでいるのに対して、現実には8割弱の方が病院で亡くなられています。もしこの割合が今後も続けば病院のベッドはまったく足りません。それはあと10年後のことなのです。私たちは大いに危機意識を持たねばなりません。
■地域包括ケアシステムの推進
これは、高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最期まで続けられるようにするために、生活支援を一体的に提供するシステムです。そのカギになるの が在宅医療なのです。ケアマネージャー、ホームヘルパー、それに地域のボランティアや自治会のメンバーなどが協力して、慢性的疾患を抱える高齢者の生活を 総合的に支援しようという概念です。
■医療中心から患者の生活中心に考え方がシフト?
病状が落ち着いた患者さんは慢性期病院や療養型病院を経て、在宅医療へと移行していきますが、この移行時の連携プレーが現状ではあまりうまくいっていません。
本来は患者さんの生活が退院で断ち切られることなく、次の環境にスムーズに移行できるように連携プレーを図っていくべきなのです。高齢社会本番に向けて、「患者中心の生活連携」は重要テーマです。
■多職種間の連携を推進するにはIT化も必要です。
一人の患者情報が職種ごとに分散していたのでは連携もできません。電子カルテをクラウド化できれば、スタッフ全員が情報を簡単に共有できます。個人情報の保護など、課題はもちろんあるものの、このクラウド化は在宅医療時代を迎えるのに欠かせない議論だと思います。
■「在宅医療」は分野横断的議論です。
「在宅医療」は最も横断的な議題ではないかと思います。
医学・医療の領域を越えて議論するのはもちろんですが、看護から介護、ケアマネージャーやケースワーカーまで、職種を越える横断的議論も大切です。