突然発生する急性大動脈解離、救命は時間との闘い動脈解離
高血圧のある人は要注意

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以下は抜粋です。

 いったん発症したら、治療を受けられる施設に、できるだけ早く「生きて」到着しなければなりません。急性大動脈解離は、前兆といえる症状がほとんどない上に、発症すれば短時間のうちに死亡するリスクが高い、やっかいな病気です。
■大動脈とは 
~心臓から全身に血液を送り出す、最も太い血管~
酸素を多く含んだ動脈血を心臓から全身に送り出す、体内で最も太い血管です。
■大動脈解離とは 
~血管の内側に傷ができ、壁の中に血液が流れ込む~
太いホースのような大動脈の壁は、内膜・中膜・外膜の3層構造になっています。内膜のどこかに傷ができ、そこから血液が中膜部分を裂くようにして流れ込んだ状態を解離といいます。解離が生じると、最初の穴より下流にもう1つ穴があいて内膜と外膜の間に血液の流れができたり、出ていく場所のない血液がその場で固まったりします。
大動脈解離がなぜ、どのようにして発生するのかについては、いまだ不明な点が少なくありません。

■発生率と死亡率 
~高齢者、冬場に多い~
日本国内のいくつかの地域で調査が行われ、年間発生率は10万人あたり3人前後であることが示されています。
動脈解離の発症のピークは70代で、発症者の男女比は、中年期には男性が女性の2~3倍ですが、高齢になるほど差は縮まります。発症者は冬場に多く、夏場には少ない傾向があります。時間的には日中、特に6~12時に多いと報告されています。

■大動脈解離の危険因子 
~患者の7割以上が高血圧~
この病気の直接の原因ははっきりと分かっていませんが、危険因子と考えられているのは、
高血圧(急性大動脈解離を起こした人の70~90%が高血圧です)、
血管の病気(血管の壁を弱くする先天的または後天的な病気があります)、
妊娠(ホルモン濃度の変化が大動脈壁にも変化を起こします)、
外傷(交通事故で、胸をハンドルで強打した場合などに発生する可能性があります)、

先天的な大動脈弁と大動脈壁の異常、などです。

◇予防には日常の血圧管理が非常に重要と考えられています。

<参考文献>
・田辺正樹, 中野赳. “疫学”. 特集:大動脈解離の論点―大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年)を踏まえて. 脈管学. 2008;48:13-18.
・日本循環器学会「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011 年改訂版)

出典:日経Gooday