食物繊維を摂ればどんないいことがあるのか?
どんな食べ物に多いのか?
注目食材は?
食物繊維を摂るときに注意することは?
食物繊維の働き
食物繊維には、次のような重要な働きがある。
- 1.腸内で善玉菌を増やす働きをして、腸内環境を整える
水に溶けやすい水溶性の食物繊維は、
腸内で発酵することにより、
善玉菌が繁殖しやすい腸内環境を作ることがわかっている。
腸内環境は肥満、糖尿病、アレルギー、メンタル系の疾患と
関連があることが近年の研究でわかってきた。
腸内にどのような菌をどのような状態でキープしているかが
その人の体質や疾患との関係があることがわかってきたのだ。
- 2.食後血糖値の上昇を抑制する
水に溶けやすい水溶性の食物繊維は、
血糖値の上昇を抑制する効果が高い。
食後血糖値が上昇すると、糖尿病のリスクを高める。
急激に上昇した血液中の糖がコラーゲン繊維と結びついて
弾力性がなくなり、しわやたるみの原因にもつながりやすい。
さらに、骨もコラーゲン繊維でできているため、
食後血糖値の上昇は骨質を悪化させることにもつながり、
ひどくなると骨がもろくなって少しの衝撃で折れやすくなる。
- 3.LDLコレステロールの排出を助ける
脂質は多すぎると
メタボリックシンドロームや動脈硬化につながる。
食物繊維には、動脈硬化の原因になる
LDLコレステロールの排出を助ける働きがあるのです。
動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるので、
食物繊維をとることは、これらの病気の予防にもつながる。
食物繊維を豊富に含む食材は、食べるためによくかむので、
食べすぎを防げるという意味でも、ダイエットにつながる。
また、腸内の善玉菌が食物繊維をエサにして
短鎖脂肪酸という物質を作り、
この短鎖脂肪酸が血液中に出ると、
脂肪細胞が脂肪をため込むのを防ぐので、
太りにくくなる。
食物繊維をとる方法は?
では、食物繊維を豊富に含む食材には、
どんなものがあるのだろうか?
【食物繊維を豊富に含む食材】
・大麦、玄米、ライ麦やはと麦などの雑穀
大麦は麦ごはんとろろの組み合わせで摂るのがいい。
とろろは糖質吸収を遅くして血糖値上昇を抑えてくれるからです。
また大麦には「セカンドミール効果」といって
食事直後だけでなく
次の食事の血糖値抑制にまで
持続作用があります。
・大豆、およびおからやきな粉、納豆などの大豆を皮ごと加工した製品
・小豆、ゴマ、アーモンドなどの豆類、ナッツ類
・エノキ、シメジ、エリンギ、マイタケ、シイタケなどのキノコ類
・ゴボウ、オクラ、モロヘイヤ、レンコンなどの野菜
・海藻類、乾物類など
乾物類について例えば大根は、
生のままだと食物繊維が少ないが、
干し大根にすると水分が蒸発するために
食物繊維をとりやすくなる。
ここに挙げたような食材を使った料理を食べると、
食物繊維をたっぷりとることができる。
大麦などの雑穀入りごはんは食物繊維が豊富だ
また、「小腹が空いたときにおやつとして
手軽に食べられる食物繊維豊富な食品としては、
甘栗や豆乳、蒸し大豆をおすすめします。
蒸し大豆は、大豆を蒸すことで高い栄養価を逃さず、
うまみも凝縮されています。
甘栗も蒸し大豆も、そのまま食べられる
レトルトパック入りの製品が市販されているので、
手軽に活用できそうだ。
ヨーグルトのような発酵食品も腸内環境を整えてくれるが、
食物繊維を一緒に食べることで
さらに効果が高くなることがわかっている。
食物繊維のとり方に注意
腸の環境を整えるためにも、効果のある食物繊維だが、
とり方には注意が必要だ。
食物繊維は消化しにくいので、
体に良いからといってとりすぎると
胃腸に負担がかかる。
胃腸が弱っているときは、無理にとらないようにしよう。
また、よくかまずに食べたり、
食材にきちんと火が通ってなかったりすると
消化に負担がかかるので、
胃腸が弱っている時には食べ方、
調理法にも気をつけることが肝心だ。
さらに、「便秘が続いている人が、
急に食物繊維の豊富な食材を
生のままで大量に食べると、
一時的に調子が悪くなることもあります。
便秘の際に
食物繊維の豊富な食材を食べる場合は、
よく加熱して少しずつとるようにしましょう。
食事を変えると、24時間後には
腸内環境が変わり始めるというデータがあるそうです。
今日から食物繊維の豊富な食材を意識して食べると、
明日から腸内環境が好転し始め、
ダイエットに効果があるだけでなく、
10年後、20年後の
血管の大病予防にもなります。
昔ながらの日本人の食卓では、
食物繊維の豊富な雑穀を米に混ぜて主食にするほか、
豆類、大豆製品や乾物類を使ったおかずも多かった。
洋風の食事が多くなった現代では、
食物繊維の豊富な食材の登場回数は、
残念ながら減っているのが実情だ。
腸内環境を整えて生活習慣病を予防するために、
食物繊維の豊富な食材を、
もっと積極的に活用してはどうだろうか。
出典:
日経Gooday、
週刊文春