『血液ドロドロだと脳卒中や心筋梗塞の危険!
血液サラサラにしなくては。』

医者がいうには、そうとは限らない。
では
血液サラサラよりも大事なこととは?

そのためにはどうしたらよいか、637x%e3%80%80%e8%a1%80%e7%ae%a1%e5%8a%9b%e3%82%92%e9%ab%98%e3%82%81%e3%82%8b

 

まとめてみました

 

以下は、主として、池谷医院(東京都あきる野市)院長の
池谷敏郎先生のお話です。

今ではすっかり定着した「血液ドロドロ」という言葉。
脂ぎって黒ずんだイメージがあり、
いかにも不健康な印象を与えます。

 

血液ドロドロとは、水分が少なく、
血小板の活性が高まって固まりやすくなっている状態。

血液中のコレステロールや糖が多いことではありません。

 

「ドロドロ」や「サラサラ」よりも大事なことがある

 

血液がドロドロだと、血管が詰まって
脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまうから危険だ
と思いがちですが、
実際には、固まりやすい状態でも、
そう簡単に血管内の血は固まらない。

 

ドロドロやサラサラよりも大事なことがあるのです。

それは、血管の内壁にできる、

脂肪の詰まったコブ状の「プラーク」です。

 

プラークは、
動脈硬化が進行し、血管が老化することによって作られ、
血管を狭くして血液の流れを悪くしていきます。

 

やがて何かのはずみで
プラークに傷がつくと、
それをふさごうとして血小板が集まり、
血栓(血の固まり)ができてしまいます。

 

これが脳の血管を塞げば脳梗塞、
心臓の血管(冠動脈)を塞げば
心筋梗塞となります。

 

血液がサラサラであっても、
加齢によって動脈硬化が進行していて、
血管内にプラークが多い人もいます。

 

サラサラでも血栓が詰まることがありますので、
血液がドロドロかサラサラよりも、
大事なのは血管力なんです。

 

血管力とは

 

ここで“血管力”とは、
具体的にどのようなことなのでしょうか?

 

血管力とは
血管がしなやかさを保ち、内壁がなめらかで、
血液をスムーズに流す力を意味する。

 

つまり「血管力が高い」とは
血管が柔らかく、プラークも少ない状態だ。

 

血管力に似たもの「血管年齢」があるが、
「血管年齢」とは、
血管が何歳相当に硬くなったかを表すものだ。

 

血管力が高いと血管内皮細胞から
一酸化窒素がたくさん出て、それによって
いっそう血管力が高まっていきます。

 

血管の内壁を構成し、
血液と触れる「血管内皮細胞」と呼ばれる部分
からは一酸化窒素(NO)が出ます。

 

この一酸化窒素には
血管を拡張し、しなやかにすることで、
動脈硬化を防ぐ作用があります。

 

血管力を高めるには

 

では、どうすれば血管力を高めて
一酸化窒素をたくさん出すことができるのか?

 

  1. 1.青魚、ブルーチーズ、ショウガを食事で取り入れる

血管内皮機能を高めて
一酸化窒素の分泌量を増やす栄養素には、

 

青魚に含まれるオメガ3脂肪酸として有名な6233519df97406d2e600070ffdec5100_s
エイコサペンタエン酸(EPA)や、
ブルーチーズに含まれるラクトトリペプチド(LTP)がある。
これらの食材を含む、バランスの良い食事を心がけよう。

 

一酸化窒素は血管を拡張させる作用があるが、
逆に血管を拡張させることでも
一酸化窒素はたくさん出るようになります。

 

ショウガ、トウガラシ、適度のアルコールなど、
一般に「血行を良くするもの」は血管拡張作用があり、
一酸化窒素の分泌を増やすという。

 

  1. 2.深い睡眠を取る

よく眠ることも大切だ。
深い睡眠のときに出る成長ホルモンは、
子供だけでなく、大人にも欠かせないホルモン。

 

血管内皮細胞の修復を行い、
一酸化窒素を出す力を高めてくれる。

 

  1. 3.禁煙する

百害あって一利なしと言われるタバコは、
血管力の維持にもマイナスになる。

 

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、
一酸化窒素の分泌を抑える。

 

また、大量に発生する活性酸素によって
血管内皮細胞がダメージを受け、
やはり一酸化窒素の分泌が抑えられてしまう。

 

ちなみに、
「喫煙者が心筋梗塞や狭心症を起こすリスクは、
タバコを吸わない人の約3倍も高くなるという。

 

  1. 4.ふくらはぎを動かす運動を行う

有酸素運動には血管を拡張させる作用があり、
一酸化窒素の分泌を増やす。
水泳も悪くないが、特にいいのはウォーキング
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるほどで、
ふくらはぎの筋肉を動かすことで下半身の血流が良くなる。

 

「血管は筋肉の中にあるので
足の筋肉を使うことでミルキング
(マッサージのように揉まれる)が起きます。
末梢神経まで刺激され、
血管を健全に保つ効果が期待できます。」(北関東循環器病院、南院長)

 

忙しくてウォーキングをする時間が取れない人に、
お勧めは「ふくらはぎ体操
40代女性のモニターが4日続けたところ、
一酸化窒素の分泌量が3割ほど増えることが
確認されたという。

 

やり方はいたって簡単だ。
立ったまま、ゆっくり両足の踵を上げて
爪先立ちになり、
再びゆっくり踵を落とすだけ。
10回1セットとして、1日3セットやればいい。

 

ふくらはぎ体操は床に座った状態でもできる。
両足をまっすぐ伸ばし、足の甲をゆっくり伸ばす。
続いて足首を曲げ、ふくらはぎをしっかり伸ばす。
同じく10回を1セットとして1日3セットやる。

 

何歳になっても血管力は鍛えられるし、
それによって動脈硬化の進行が抑えられ、
プラークができにくくなります。

 

さらに、血管力が上がるような生活習慣を続けることで、
結果的に血液もサラサラになっていきます。

 

肝心の血管力が上がれば、
ドロドロ血液も自然に改善されるというわけだ。

 

恐怖の「突然死」を避けるためにも、
今日から「ふくらはぎ体操」を始めてみますか!



池谷敏郎(いけたに としろう)さん
池谷医院院長

 

97年より現職。東京医科大学循環器内科客員講師。
日本内科学会認定総合内科専門医。
日本循環器学会循環器専門医。

 

出典:日経Gooday

http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100018/120800030/

 

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