心筋梗塞予防策の基本は
当然のことながら、リスク要因を減らし、
症状が見られればすぐに病院を受診することになる。
しかし、その心筋梗塞予防策として
まだあまり知られていないことがある。
以下は、東海大学病院循環器内科・伊苅裕二教授のお話。
■糖尿病があればスタチン
<心筋梗塞の予防策>
1.『LDLコレステロールを下げる薬』と思われている
「スタチン」の使い方だ。
リスク要因のひとつである糖尿病対策として、
日本では基本的に
LDLコレステロールが高くなければスタチンは使わない。
ところが米国では、
「糖尿病があればスタチン」と
ガイドラインで定められている。
糖尿病であることそのものが、心筋梗塞のリスクを上げる。
そして、これまでの研究でスタチンは
「心筋梗塞のリスクを下げる」と結果が出ている。
「循環器内科医は、スタチンを
『心筋梗塞予防の薬』と考えています」
これまでは
LDLコレステロールの数値を下げても
基準値よりはるかに低い心筋梗塞患者が珍しくなく、
こういった患者への対処が長年の議論でした。
しかし、最新の研究では
「もともとLDLコレステロールが低い場合も、
心筋梗塞の2次予防にはスタチンを用いたほうが
再発率が低い」との結果が出ている。
「スタチンを最大量投与しても、
LDLコレステロールは50(mg/dl)前後までしか下がらず、
身体への影響はありません」
■不安定狭心症は要注意
<心筋梗塞の予防策>
2.心筋梗塞の前兆である「狭心症」への対処だ。
狭心症には、安定狭心症と不安定狭心症があり、
後者は2割弱が1カ月以内に心筋梗塞を起こす。
だから、不安定狭心症は、特に注意が必要だ。
狭心症は
症状の出る場所やその強さ、
内容は人それぞれに異なる上、
「動くと主に胸が苦しくなる
(胸ではなく、歯痛、腹痛、
胸のむかつきなどと表現する患者もいる)」
「休むと5分ほどで治る」が特徴。
しかし厄介なのは、
安定狭心症から不安定狭心症への移行は
患者の自己申告でしか判断できないこと。
「感度の高い検査を行っても、
異常なしと出ることは珍しくありません」
したがって
不安定狭心症は、狭心症の発作の頻度が増えたり、
安静時にも起こすようになった時に疑う。
「狭心症で、少しでも症状に変化が
見られれば主治医に伝えてください。
検査結果が異常なしでも、
不安定狭心症が考えられれば、
カテーテルを用いた治療(PCI)を行い、
心筋梗塞への移行を防ぎます」(伊苅教授)
心筋梗塞に対する知識が徹底すれば、
死亡率はぐんと下がると考えられている。
出典:日刊ゲンダイDigital