がん重粒子線治療に進化の動きがありました。
下記諸情報をまとめると次のようになります。
1.装置の小型化、建設費の大幅低減
新たにレーザー加速技術、熱伝導技術等の採用により
装置の大幅な小型化・低建設コスト化を実現し、
従来の大きさの1/10にし、一般病院でも実用可能になる。
2.線種のマルチ化による治療効果向上
線種を炭素に加えて、ヘリウム、酸素に広げ
マルチイオン方式とし、従来よりも高い治療効果を目指す。
3.10年後2026年実用化
外科治療に替わる「量子メス」として実用化する。
粒子線と陽子線や通常の放射線との違い
重粒子線は陽子線に比べ扱いにくく、装置も大型化し、高コストなのが課題でした。
陽子線は、細胞致死効果は
従来のガンマ線、エックス線などとほぼ同じですが、
線量の集中性がこれらより優れています。
重粒子線は止まる位置のずれや横方向の広がり(散乱)が
陽子線よりも少なく、
細胞致死効果(生物学的効果)は陽子線の約3倍と高く、
神経組織や重要臓器を避けながら精密な治療が可能です。
また、酸素濃度の低い腫瘍にも効果が高いという特徴があります。
重粒子線 | 陽子線 | エックス線 | |
(1) 線量の集中性 | ○ | ○ | × |
(2) 線量分布境界の鋭さ | ○ | △ | × |
(3) 生物学的効果 | 3 | 1 | 1 |
(4) 低酸素がんに対する効果 | ○ | × | × |
(5) 放射線抵抗性がんに対する効果 | ○ | × | × |
(6) 分割照射回数が少ない | ○ | △ | × |
(出典:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所)
量子メスの模型画像(出典:量研機構)
放射線医学総合研究所のHIMACと第5世代量子メスの大きさの比較。量子メスのモデル。
現在の第3世代重粒子線治療施設の1/10まで小型化する。(出典:インナビネット)
≪参考情報≫
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161213/k10010805331000.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1612/14/news101.html
http://newswitch.jp/p/7149
http://www.innervision.co.jp/report/usual/20170108
https://internetcom.jp/201923/quantum-scalpel
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/327442/072700075/?ST=health&P=1
http://www.shi.co.jp/info/2016/6kgpsq0000002pt0.html
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