全体として
食道がん治療の基本は2009年時点と変わっていない。
すなわち、
標準治療の進化は確かにあって
統計的に生存率が上ったかのように見える。
しかし、ほかのがん治療同様、
標準治療だけで足りる患者は多くない。
特にリンパ節転移者は化学療法の他に
標準治療にはまだなっていないものも含めて、
なんらかの治療をしなくてはならない、
という現実は続いている。
結局、行きつく先は、一人ひとりの食道がんに合わせた個別化治療。
セミナー内容のまとめ(レジュメ)は以下です。
鶴丸教授講演レジュメ 食道がんの治療
別途Chatterのグループ毎に共有しています。
標準治療については食道がんの名医とされる医学博士、医師・教授。鶴丸昌彦先生。
免疫治療についてはエービーバックスの主唱者で医学博士、医師。阿部博幸先生
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以下は、鶴丸先生の講義メモです。
食道がんの治療
(2017年3月時点)
人口10万人に対する発症率
男31.2% 女5.2%
発症率は男性が圧倒的に大きい。
男性の症例は女性の5.8倍。
食道がんのリスクの主なもの
大量の飲酒
辛い食べ物
喫煙
血縁者にがん患者
熱い食べ物
たばこの寄与率
食道がん47.8%
肺がんより小さいが無視できない。
⇒
喫煙と飲酒歴が長いとそうでない人に比べて罹患のリスク約50倍
食道は声帯神経、心臓、動脈など
重要な臓器の近くなので手術は難しい。
5年生存率はリンパ節転移数によって異なる。
リンパ節転移患者の生存率は約1/3。
食道がんの治療は標準治療だけでは十分ではない。
標準治療とは、内視鏡的粘膜切除、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)。
食道再建後のルートとして3つある。
鶴丸教授はそのうち胸骨後経路をとっている。
後の手術しやすさと機能を考慮。折衷案
食道がんの5年生存率は62.5%
化学療法の術前治療が
いまではよく行われていて
術前化学療法は成果を挙げている。
だだし、化学放射線療法を施しても
約2/3の症例には追加治療が必要となっている。
従って標準治療だけでは治療として十分ではない。
集学的治療が必要である。
標準以外の集学的治療としては、
粒子線治療(陽子線、重粒子線)、
免疫療法、温熱療法、分子標的治療、
遺伝子療法、Precision Medicineなど
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