要旨

がん治療のベクトルは患者負担の軽減に向かっている。

ゲノム治療(遺伝子治療)が身近になるのは
生活習慣改善の確かな方針となるだけでなく
難治病治療の「羅針盤」が得られたようなものだ。

ロボット手術、粒子線治療で保険適用範囲が拡大

有力ながん治療について、保険適用範囲が拡大した。

がん治療進化は日進月歩と実感できて嬉しい。

患者にとって新たな治療が開発されることは心躍る知らせだが、
すでにある有力な治療が身近で手の届くようになるのも嬉しいものだ。

ロボット手術、粒子線治療そして遺伝子治療で保険が使えるようになった。

優れた治療であっても、庶民にとって高額なものは正確には「治療」とは言えない。
治療とはだれでも平等に受ける機会があるものでなくては意味がない。
その意味で今回の保険適用拡大も治療進歩を示すものとして歓迎したい。

ロボット手術については、既にダビンチというロボットを使った手術が行われている。

日本はUSに次ぐ症例を誇るという。いわばロボット手術先進国だという。

これまでは保険が利く手術は前立腺がんなど限られていたが、
今後はさらに大幅に適用範囲が拡大する。

これで患者の身体的負担を軽くした手術が実現できることになる。

そのためにはロボット治療技術の学習・習得が促進され経験に裏付けられた
スキルセットをもつ医師がきちんと教育されていてほしいものだ。
そして彼らが人間には不可能であった手術を可能にし、治療効果向上に貢献するのを期待したい。

粒子線治療は、放射線による正常細胞の損傷をできるだけ避けて、
がん細胞のDNAを破壊できる治療とされている。

つまり、がん細胞を確実に破壊する一方、患者の身体的負担が軽い治療となる。

がん治療のベクトルは確実に患者負担軽減に向かっている
ロボット手術も粒子線治療もこの方向性に沿った治療として、今後さらなる進化を期待したい。

がん遺伝子検査(ゲノム医療)の進歩

遺伝子検査の一部が先進医療に指定されたことは、がん治療の確かな進歩だ。素直に喜びたい。

がんは遺伝子異常が引き起こすものと信じるものにとって、進化する予感が的中したことになる。

遺伝子の分析検査はがん治療を進める上で欠かせない。

がんの原因遺伝子を特定しその状態を把握する。
遺伝子の状態によって今やっている治療が効いているのかいないのか、
効いていなければ次の治療はどうあるべきか、検討するベースが与えられる。
この遺伝子検査をベースに治療を進めることで、納得のゆく治療ができてきる。

遺伝子検査が先進医療に指定されたことは、
治療を進める上で遺伝子分析・解析が重要なことを表すものだが、
遺伝子検査に保険が利くこともあるということは、

患者にとって遺伝子治療が身近な存在になったという意味で歓迎したい。

しかしことの本質はそこにはない。

がんは遺伝子変異がもたらすものとされて久しいが、
遺伝子検査でがんの原因遺伝子が特定できることに大きな意味がある。

でも特定できたところですぐに有効な治療が見つかるとは限らない。
しかし有効な治療開発への足掛かりが見つけられる意味は大きい。
遺伝子治療については、テクノロジー進化とのコラボが期待できる。

テクノロジーを駆使して有効治療の出現に期待したい。

患者にしてみれば、原因遺伝子を知ることによって
生活習慣を見直す確かな指針を得たことになる。

そうして医師に全部お任せの治療ではなく、程度の差はあるにせよ、自律した治療もできることになる。
つまり、患者は医師とともに病の治療方針を決めるときに
「羅針盤」のような決定基盤が得られる時代になった
ことになる。

上述の保険適用拡大は一種の治療進化ではあるが、医療の実態的な進化ではない。

上述のように、
たとえ遺伝子分析で原因遺伝子が特定できたとしても、有効な治療があるとは限らないからだ。

遺伝子治療はゲノム解析の進捗、その研究成果蓄積そしてこれらのコラボ技術の進化などによって、
今後、有効な治療開発が期待される。

 


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