緑茶を飲む習慣はどうして体にいいのか?

がん治療・予防

緑茶は非常に優れた「抗酸化食品」

カテキンのたいせつな働きは、体内で生まれる活性酸素を消去する抗酸化機能です。

私たちは生きるために酸素をつねに必要としていますが、酸素はストレスや紫外線、疲労などによって有害な活性酸素に変化します。
人間の体には、この活性酸素を無毒化する酵素(SOD:スーパーオキシドディスムターゼ)が備わっていますが、40歳を過ぎるとその働きが衰え始めて、活性酸素を無毒化処理する働きが低下します。

すると、無毒化されずに増えた活性酸素が正常な細胞や遺伝子を攻撃し、動脈硬化やがんの発症につながっていくと言われています。だからこそ、活性酸素を消去する抗酸化作用を持つ食品を取ることが重要となるのです。

たとえば、カテキンは肝臓を攻撃する活性酸素を消去し肝臓をダメージから守ってくれるわけです。

緑茶には抗酸化作用が高いカテキンのほか、同じく抗酸化作用を発揮するビタミンCやEも併せ持つことから、非常に優れた抗酸化食品といえます。

リラックスできる ストレス緩和する よく眠れる

テアニンにはリラックス作用があり、
ストレス緩和や睡眠の質を改善する効果も期待できます。

テアニンは40~50度ほどのぬるい湯で入れたときにたくさん抽出されます。

テアニンが多く含まれるお茶にはどんな効果があるのか、少し詳しくみてよう。

テアニンは緑茶に含まれるアミノ酸の一種で、緑茶のアミノ酸の半分以上を占めている。テアニンは茶の根で合成され、それが葉にたまり、日光を浴びるとカテキンに変化する。

テアニン入りの水溶液を摂取後、40分くらいすると脳波にアルファ波(α波)が出るという研究結果があります。α波が出ると、人はリラックスした気分になります。
さらに摂取後、40分後くらいまで副交感神経の活性度が増すことも明らかになっています。副交感神経が働けばリラックスにつながる。副交感神経はリラックスしているときに働く神経系。テアニンを摂取することでリラックスできるわけです。

静岡大学が2012年に行った研究では、物理的、あるいは精神的ストレスに対してテアニンが抑制作用を発揮する、という結果が報告されています(J Physiol Anthropol.;31,28,2012)。

さらには、睡眠の質を改善する効果も期待できるという報告もあります(日本生理人類学会誌,9(4),143-150,2004)。

ですから、夜は温めのお湯でいれた緑茶のテアニンでほどよくリラックスして安眠できるのです。

風邪予防、口臭予防、免疫力アップ

「お茶うがい」によるインフルエンザ予防効果として、カテキンは、インフルエンザウイルスの表面にある突起にくっつき、粘膜にウイルスが吸着するのを邪魔して感染を防ぐとされています。

静岡大学の研究結果で、茶カテキンのうがいによって、インフルエンザ発症が抑えられたという報告がなされています。

また、カテキンは、口臭の原因成分と結合したり、虫歯菌や歯周病菌の繁殖を抑える作用も持っているので、習慣的にお茶を口に含むことで口をすっきり清潔にキープすることができます。

緑茶にはカテキン以外にも、テアニンやビタミンCといった免疫力を高める成分も含まれています。

緑茶は生活習慣病を予防

血液は全身を巡って、酸素や二酸化炭素を運んだり、栄養分やホルモンを届けたり、体温調節するなどの大切な働きを担っています。

それは髪の毛の14分の1というたいへん細い毛細血管を巡りながら働いていいます。

この細い隙間を血液が巡るためには、血液はサラサラと流れないと、全身でさまざまな問題が生じることになります。

つまり血液の状態は、その人の健康状態と密接に関係しているわけで、各種の生活習慣病と密接に関連しています。

緑茶を日常的に飲むことで、上述のように肝臓での脂肪燃焼効果や小腸での糖質吸収抑制効果が期待でき、生活習慣病予防につながります。

緑茶を飲む習慣が死亡リスクを減らす

国立がん研究センターによる発表(2015年)では、長期にわたる疫学研究によって「緑茶を飲む量が多くなるほど死亡率が下がる」という研究結果が明らかになっています(Ann Epidemiol.;25,512-518,2015)。

そのほかに緑茶の健康効果に関わる最近の研究例を挙げます。

  • 緑茶を15杯以上飲む男性は、1日に1杯未満の男性に比べて進行性の前立腺がんリスクが約50%低い(Am J Epidemiol.;167,71-77.2008 )
  • 緑茶を15杯以上飲む女性は、1日に1杯未満の女性に比べて胃がん発症リスクが21%低い(;58,1323-1332.2009)
  • 緑茶を110杯以上飲む人は、3杯未満の人に比べてすべてのがんに対してリスクが約2分の1に減少。がんにかかった人の診断時年齢を比較すると、がん発生が女性では3年、男性では3.2年遅延する(J Cancer Prev.;20,1-4.2015)

緑茶摂取で認知症予防

緑茶には認知機能アップ効果が期待できます。

静岡県立大学で行われた研究によると、1日2~3杯に相当する緑茶粉末を3カ月摂取したところ、認知機能検査における平均点が摂取前よりも上昇したという結果が出ています。

65歳以上の認知機能が低下した12名を対象に、緑茶粉末を1日2g、3カ月摂取してもらった。その結果、投与前よりも投与後の認知機能(MMSEスコア)、短期記憶が有意に改善した(Nutrients. ;6,4032-4042.2014)

短期記憶は脳の海馬が司っていて、初期の認知症は海馬の衰えから始まります。緑茶を積極的に摂ることが、認知症予防の有効な手段となるのではないかと考えられています。

また、認知症は65歳以上ではその罹患率が15%に達すると言われます(認知症有病率推定値、2013年厚生労働省)。従って高齢化率が年々上昇する中で、認知症は何とか予防したい病気でもあります。

認知症予防効果は、カテキンの抗酸化、抗炎症作用によるものではないかとされています。

動物モデルを用いた研究によって、認知症の原因の一つである神経細胞死を抑制することが報告されています。

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