『自分の遺伝子情報と検査データを入力すると、
自分にあったがん治療方法や治療薬が見つかる。』
そんなことありえないと思われるかもしれません。しかし、
なぜ、そんなことがいえるのか、説明します。
Precision Medicine の進化
がん(以下、G)の発症は、その人の持つ特定の遺伝子異常によって引き起こされます。
G患者それぞれが抱える遺伝子異常に対処しようとする取り組みがプレシジョンメディシン(Precision Medicine)です。これは個別化医療とか一人ひとりの治療、オーダーメイド治療と言われることもあります。
プレシジョンメディシンは、異常のある遺伝子別に治療する分子標的薬としてすでに成果を挙げています。これは、Gの部位別治療薬であった従来の抗がん剤が進化したものと云えます。
またITテクノロジー進歩を背景として、ヒトゲノム情報とG患者の持つ異常な遺伝子に関わる論文とを突き合わせてG原因遺伝子の特定とその治療薬を発見する成果も挙がっています。
どちらもGを引き起こしている原因遺伝子に着目するものですが、遺伝子情報やそれに関わる世界中の論文をもとに分析するにはかなりの大量データ(いわゆるBig Data)に対処しなくてはならないため、人間の力では不可能であり、テクノロジー活用が不可欠となります。
テクノロジー活用として、コンピューターテクノロジーなどのハードウエアに加えて、大量データに対応するデータベーステクノロジーなどのソフトウエアも重要です。
今、AIがプレシジョンメディシン開発のキーテクノロジーとして注目されています。
AI(Artificial Intelligence)の進化
AIは特定の業務分野では特化型AIとして人間能力を超える力が発揮できます。
たとえば、すでにCT画像診断前の初期チェックに利用され、チェックスピードアップはいうまでもなく人間の見落としを支援するなど、正確性向上や省力化に貢献しています。
今後さらに、たとえば手術において、人には不可能に近い、特別な能力が要る困難な手術もAI利用によって簡単にできる可能性が高いのです。
また、人の話し相手になれるAIの開発が進んでいて特定分野であれば適切な学習によって、様々な質問に回答ができています。
したがってこの進化の延長線上には、難しい問題について問い合わせとして情報インプットすれば答が返ってくる可能性が見えて来ます。
AIは、その学習が人間には不可能な膨大なデータを学習できます。
たとえば、ヒトゲノム、遺伝子の情報とその遺伝子に関わる世界中の研究成果・論文は膨大な量に上りますが、これらを学習してしまいます。
現在進行中の「統合的ながん医療システム」では、個人の遺伝情報、がんに関係するDNA情報、医療画像、血液やタンパク質の情報、医学・生物学の実験データなどデータ形式や種類が異なるの大量データをAIが学習し、
患者のG原因遺伝子の特定と治療薬の発見に繋げようとしています。
この成果実現のためにはBig Data解析に必要なITテクノロジー(AI、コンピューター、データベースなど)の進化が必須です。
つまり、ITと医療の協働成果がもとめられています。
がん治療の近未来
医療とITの協働(コラボレーション)によって明るい未来が見えて来ます。
すなわち、
G患者のヒトゲノム情報と血液のデータをコンピューターに入力すると、
その患者にあったがん治療方法や治療薬を見つけ出して提示する。
こんな未来シーンが見えてきます。下図をご参照ください。
ここではAI、BigData解析ツール、コンピューターテクノロジーなどに加えて
ヒトゲノム情報、DNA情報、遺伝子に関する論文などの医療関係情報、
検査データ、画像データなどの患者の実際データがベースになります。
なかでもAI機能は異なる大量情報のマネジメントにはキーと目されます。
これら要素はそれぞれに優れた成果を挙げています。
これからは、その人にあったG治療を目指してこれらを如何に組み合わせるかが問われています。
これまでのAIテクノロジー進化の状況を顧みるとGは治せる、治める時の到来はそう遠くないとは思いませんか?
なお、医療とITテクノロジーとのコラボレーションの概念図は下記です。