コーヒーはカラダにいいのか悪いのか、最新研究ではカラダにいいことづくめだったことが明らかにされていますね。もうご存知のかたも多いことでしょう。
しかしコーヒーの「カラダにいい効果」を引き出すには「淹れ方」がとても大切です。
同じ1杯のコーヒーでも、コーヒー豆の煎り方によって成分は違ってくる。
また、コーヒーをお湯で抽出する際、フィルターを使うかどうかによっても健康への影響は変わってくる。
さらに飲むタイミングが適切であれば「カラダにいいこと」を最大化できます。
順に紹介します。
豆の煎り方によって成分が違う
コーヒーの生豆を焙煎したものを挽いて、お湯で抽出して飲むとき、
焙煎の度合い、つまり熱を加える時間によって、コーヒー豆に含まれる成分は変化します。
コーヒーに含まれるカフェインは熱を受けてもほとんど変化しないのに対して、ポリフェノールのクロロゲン酸は熱により変化します。
生豆を焙煎して熱を加えてゆくと、ポリフェノールは減ってゆきます。
ですから、ポリフェノールのクロロゲン酸を摂ろうとするなら浅煎りで飲むのがおすすめです。
クロロゲン酸は動脈硬化を予防
「クロロゲン酸」は、その強い抗酸化作用によって体内の炎症を抑え、血管壁にプラークを作りにくくし、血管壁の内皮細胞に作用して血管をしなやかに保ちます。
その昔、例えば1960年代は、「ポリフェノールは人間の必須栄養素ではないから、あまり役に立つ成分ではない」と考えられていたといいます。
しかし、それ以降、世界中で疫学調査が行われ、「コーヒーをある程度飲むと心筋梗塞を予防できる」「死亡率も低くなる」という事実が続々と発表されたため、その意識も大きく変わっています。
死因のトップクラスになっている心臓病を防ぐには、動脈硬化を予防することは非常に重要です。
リラックスには深煎り豆がおすすめ
一方、焙煎すると増える成分があります。
生豆には熱を加えると変化する成分が含まれていて、焙煎すると、抗血栓作用を持つ物質(ニコチン酸)や、副交感神経を刺激してリラックス作用をもたらす物質(NMP・N-メチルピリジニウムイオン)ができます。焙煎するほどにこのリラックス作用は増加します。
ということは、
浅煎りコーヒーでも深煎りコーヒーでも、どちらもカラダにいい成分が含まれていることになります。飲む目的に応じてコーヒーは適当な煎り方の豆で楽しめばよいわけです。
健康に配慮するなら「フィルターで抽出」がおすすめ
健康に配慮するならぜひおすすめしたいのが「フィルターで抽出する方法」 です。
フィルターを使うかどうかは実はコーヒーを健康的に飲む大きなポイントなのです。
ペーパーフィルターやネルなどでドリップしている、という人は大正解です。というのは、コーヒー豆には、コレステロール値や中性脂肪値を高くする精油成分が含まれているからです。
これは水やお湯には溶けませんがコーヒーの油分に溶けて液面に浮かびます。抽出する際にフィルターを使っていれば、この油分がフィルターに引っかかって除去されるのです。
一方、フィルターを使わずに抽出液に粉が混ざっていたり、沸騰させて強く煮出したコーヒーを飲むと高脂血症につながる可能性があります。
そもそも、1980年代前半まで「コーヒーはカラダに悪い」と思われていたのは、
当時、北欧で、「コーヒーは心筋梗塞を引き起こしやすい」という報告があったためです。北欧では挽いたコーヒー豆を鍋で煮出してして抽出する飲み方が行われており、精油成分を摂取していたのが原因だと考えられています。
日本ではコーヒー豆を鍋で煮出してして飲む習慣はありませんが、最近は、コーヒーの粉を容器に入れ、プランジャーという金属フィルターを押し下げて抽出する「フレンチプレス」という方式で楽しむ人も増えている。
しかし専門家によれば、フレンチプレスでは抽出された精油成分が十分に除去されないそうです。また蒸気で勢いよく抽出するエスプレッソにも精油成分は含まれるので、飲む頻度は控えめにしたほうがいいそうです。
さらに専門家は、コーヒーのさまざまな有効成分を余すことなく抽出するには、蒸らし時間を長くとりながら、ゆっくり抽出するのがコツ、とアドバイスしています。
飲むタイミングによって効果をあげる
コーヒーを飲むタイミングは大切です。
目的に合ったタイミングでコーヒーを飲むと、カラダにいいことを最大化できます。
そのために大切なタイミングは、以下の3つです。
- 集中力を高めるタイミング:昼寝前
- 脂肪燃焼効率を高めるタイミング:運動前
- 血液サラサラにするタイミング:食後や飲酒後
集中力を高めるタイミング:昼寝前
コーヒーを“昼寝の前”に飲むことで、朝だけではなく、カフェインの覚醒作用で昼寝起きの頭をスッキリさせ、その後の集中力をぐっと高めることができます。
このことは、次の研究で明らかにされています。
広島大学大学院総合科学研究科行動科学講座の林光緒教授らの研究では、10人の大学生が「昼寝なし」「昼寝あり」「昼寝+目覚めた直後に洗顔する」「昼寝+目覚めた直後に明るい光を浴びる」「コーヒーを飲んでから昼寝する」という5つの条件で実験が行われた。
その結果、「昼寝前にコーヒーを摂取」したときがもっとも昼寝後の眠気が抑えられ、作業ミスも減少することがわかったとのことです。
つまり、コーヒーを飲んでから昼寝をすると、起きた後の眠気が総じて最も少なくなる、ということです。
また、イギリスの研究でも、ドライバーの眠気対策として、「コーヒーを飲んで15分までの昼寝をすると、コーヒーを飲まなかった場合よりも眠気が低減された」という報告がされている(Psychophysiol,33(3),306-9,1996)。
コーヒーに含まれるカフェインが脳に届くまでには20~30分かかるといわれます。
眠気を感じたときにコーヒーを飲んでも、すぐには覚醒効果は表れません。そこで、昼寝前にコーヒーを飲み、すぐさま短時間眠るのです。すると、起きるころにカフェインが効きはじめるので、シャキッと起きられるのです。
このコーヒーの活用法は、 “コーヒーナップ”(ナップとは昼寝の意味)」として世界的な話題になっています。
脂肪燃焼効率を高めるタイミング:運動前
コーヒーは、ポリフェノール(クロロゲン酸)とカフェインという2つの脂肪燃焼効果がある成分を含んでいます。したがって、運動する1時間前ぐらいにコーヒーを飲んでおくと、運動することによって脂肪が燃焼し始めるころに、カフェインも血中でピークになり、脂肪燃焼効果を高められます。カフェインは、脂肪細胞にある酵素を活性化することによって脂肪をエネルギーとして活用しやすくします。
また、 コーヒーポリフェノールであるクロロゲン酸は、肝臓での脂質の代謝を活発にし、脂肪燃焼によるエネルギー消費を増加させます。
血液サラサラにするタイミング:食事後や飲酒後
コーヒーには血液サラサラにする効果があります。
コーヒー飲むとクロロゲン酸などのコーヒーポリフェノールが肝臓で代謝され、血管内で血小板が固まるのを阻止する成分(フェルラ酸)などに変わります。このため血液をサラサラにする作用があると考えられています。
食事後や飲酒後に飲むと、血栓症予防になるわけです。
夜だったらデカフェのコーヒーも活用できます。お酒を飲んだときに飲むのが一番いいのです。アルコールによる肝機能の低下を抑えてくれます。
ただ、夜遅くコーヒーを飲むとカフェインの覚醒効果が働いて眠れなくなってしまうので、その際はカフェイン抜きの「デカフェ」を選ぶ。最近はデカフェのコーヒーも入手しやすくなりました。さらに、翌朝もコーヒーを飲むと、前日夜に飲んだアルコールの代謝で疲れた肝臓を元気づけることができます。
カフェインとクスリに注意
アルコールと同時にカフェインを摂取すると、カフェインの覚醒作用により酔っている実感を得にくくなります。
つまり、酔っているのにそれが自覚できず、ハイペースでアルコールを摂取しかねないので、飲み過ぎになりがちです。
また、薬とコーヒーの同時摂取も注意が必要です。コーヒーのカフェインは肝臓で代謝されますが、同じく肝臓で代謝される薬の成分の効果を邪魔する可能性があるからです。
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